『いらっしゃいませ』が響く店と響かない店の違い|飲食店の基本動作を見直そう
「毎日“いらっしゃいませ”と言っているのに、お客さんの反応が薄い気がする…」
そんな悩みを感じたことはありませんか?
声を張り上げても響かない、スタッフごとにバラバラで統一感がない――これは多くの飲食店で起きている“接客のあるある”です。
私自身も店長時代、声を出すことばかりに意識がいって、お客さんにどう伝わっているかを見落としていた経験があります。
おはようございます、“飲食おじさん”です。外食チェーンで10年間勤務、うち7年を店長として店舗経営に取り組んできました。

本記事では、「いらっしゃいませ」が響く店と響かない店の違いを具体的に解説します。
✅ この記事を読むメリット
- お客に届く「いらっしゃいませ」の条件がわかる
- 今日からできる改善ポイントを学べる
- チーム全体で接客レベルを揃える方法が身につく
「声を出しているのに響かない」と感じている方こそ、ぜひ最後まで読んでみてください。
なぜ「いらっしゃいませ」が響かないのか

よくある現場の勘違い
実際の店内では、声量が大きいだけで笑顔や目線が伴わないケースが多くあります。
お客さんからすると「形式的」「無理している」ように見え、かえって違和感を覚えることもあります。
声の大きさは一要素でしかなく、響くかどうかは“伝わり方”で決まるのです。
スタッフごとのばらつき
接客の第一声は、スタッフごとの個性が出やすい部分です。
ある人は元気よく、ある人は控えめに。お客さんは細かく気にしないことも多いですが、「差」があることで自然に比較が生まれます。
とくに“エース級の元気なスタッフ”がいるときは店全体が明るく見えますが、その人が休みの日は一気に「普通の店」になってしまう。
個人の力に依存すると安定しないんです。最低限のラインを全員でそろえてこそ、「この店は感じがいい」という安心感につながります。
お客の立場から見える違和感
お客さんは「いらっしゃいませ」という言葉そのものより、声のトーン・タイミング・表情を敏感に受け取ります。
無表情で棒読みすれば印象は冷たく、逆に笑顔で少し視線を合わせれば「歓迎されている」と感じてもらえます。
わずかな違いが、店全体の空気を左右するのです。
元気な個人がいない日は“普通の店”になってしまいます。だからこそ最低限をチームでそろえることが、安定した“いい店”をつくるコツなんです。

響く接客に必要な要素

表情とタイミングが伝える“歓迎のサイン”
「声が大きければ響く」と思いがちですが、お客さんが本当に感じ取るのは表情とタイミングです。
無表情で棒読み → 「形式的だな」と冷たい印象
笑顔+目線+入店から2秒以内の声かけ → 「歓迎されている」と安心感
わずか1〜2秒の差や口角の上がり方ひとつで、店全体の空気が変わります。
声量を競うより、「いつ・どんな顔で伝えるか」が肝心なんです。
実際、心理学的研究では、表情・視線・身体の動きが第一印象に大きな影響を与えるとされており(山形大学「しぐさのコミュニケーションに関する研究」)
我々の“いらっしゃいませ”にもこの非言語要素が直結します。
チームで最低ラインをそろえる
響く接客を継続するには、個人任せではなくルールとして揃える仕組みが必要です。
入店2秒以内に声をかける
体の向きをお客に合わせる
笑顔と目線をセットにする
この3つを全員の共通ルールにするだけで、ばらつきは一気に減ります。
エースが休みの日でも「この店は感じがいい」と思ってもらえる安定感を出せるのは、この最低ラインの統一があるからです。
接客は“センス”じゃなく“仕組み”。最低限をそろえて初めて、誰が立ってもお客さんに響くんです。


今日からできる改善ステップ

✅ STEP1|現状をチェックする
まずは「今どれくらいできているか」を見える化します。
入店から声かけまでの秒数
笑顔や目線があるか
体の向きが客に合っているか
これを○×形式で簡単に記録すると、「できているつもり」と「実際」の差に気づけます。
『いらっしゃいませ』現状チェックリスト
□ 入店から2秒以内に声をかけられている
□ 声は聞き取りやすい大きさで出せている
□ 笑顔と目線をセットにできている
□ 体の向きをお客に合わせられている
✅ STEP2|スタッフ同士でロールプレイ
迎える役とお客役を交代して練習します。
家族連れ、一人客、急ぎのお客などシーン別に設定
「自然に聞こえたか」「安心感があったか」を互いにフィードバック
第三者に見てもらうことで、自分では気づけない表情や声のクセがわかります。
✅ STEP3|朝礼でチームの声をそろえる
シフト前に短時間でいいので「声合わせ」を行います。
入店から2秒以内に声をかける
笑顔と目線をセットにする
体をお客に向ける
これを全員で同じタイミングで確認するだけで、接客のばらつきが減り、統一感が生まれます。
✅ STEP4|月1回の振り返りで定着させる
月に一度、入口での声かけを振り返る場を作ります。
おおよそ2秒以内に声をかけられているかを振り返る
良かったスタッフを称賛して共有
改善点をチームで話し合う
小さな成長でも「見える化」するとモチベーションが上がり、続けやすくなります。
『いらっしゃいませ』改善4ステップ早見表
声・表情・姿勢・タイミングを確認
スタッフ同士で役割交代しフィードバック
全員で最低ラインを揃える
成長点と改善点を共有、数値も目安に
“いらっしゃいませ”は根性論じゃなく技術。分けて練習し、そろえて振り返る。このサイクルで、誰が立っても同じ“感じの良さ”を出せます。

「いらっしゃいませ」を響かせるためのまとめ

「いらっしゃいませ」を改善する3つのポイント
「いらっしゃいませ」は毎日くり返す基本動作ですが、その質が店全体の第一印象を大きく左右します。
声量よりも、表情やタイミング、そしてチームでの統一感が大切です。
- 響かない原因は 声量不足ではなく、表情やタイミングのずれ
- 個人の元気任せではなく、最低ラインをそろえる仕組みが重要
- 改善は チェック → 練習 → 朝礼 → 振り返り の流れで定着する
小さな工夫を積み重ねれば、どんな店でも「感じのいい空気」を安定して生み出せます。完璧を目指さなくても、取り組みを続けることで必ず成果は出てきます。
「完璧を目指さなくていい。小さな仕組みの積み重ねで、チームは必ず強くなりますよ。」毎日“本当に”おつかれさまです。

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