利益が残らない店が見落としているポイント|飲食おじさんが語る利益率の基本
「売上はあるのに、なぜか利益が残らない」――そんな悩みを感じていませんか?
「人気メニューがよく出ているのに、思ったほど黒字にならない」
「頑張って営業しているのに、月末に残るのはほんのわずか」……。
実は多くの飲食店で同じ現象が起きています。
おはようございます、“飲食おじさん”です。外食チェーンで10年間勤務、うち7年を店長として店舗経営に取り組んできました。

この記事では、飲食店の利益率を下げる“見落としポイント”と、店舗でできる改善策をわかりやすく解説します。
✅ この記事を読むメリット
- 利益が残らない本当の原因がわかる
- 今日からできる利益改善の工夫が学べる
- 店の数字を“現場の行動”に変えるヒントが得られる
「頑張っているのに儲からない…」と感じたら、一度この記事で“利益の仕組み”を見直してみませんか?
なぜ「利益が残らない店」が多いのか

売上至上主義の落とし穴
飲食店では「売上さえ伸びれば利益も残るはず」と考えてしまいがちです。ですが、実際には売上があっても利益が増えない状況はよく起こります。
たとえば「今日はよく売れたな」と感じても、月末に締めてみると利益は思ったほど残っていない。理由はシンプルで、経費やロスを把握しないまま売上に意識が偏るからです。
自分も店長時代、キャンペーンや繁忙日で売上を追いかけて安心していたのに、月末に数字を見ると「思ったより利益が残っていない」ことがありました。
経費感覚の薄さ
もう一つ大きいのは、経費に対する感覚が曖昧なことです。
仕込みすぎて余った分がそのままロスになっている
人件費を「今日は多めに入れた」くらいの感覚でしか見ていない
光熱費を“毎月ほぼ同じだろう”と流してしまい、実際の変動を気にしていない
こうした小さな積み重ねが、実は利益を削る原因になります。
たとえば「食材ロスを減らす」だけでも、月に数万円規模の改善につながるケースは珍しくありません。
つまり、利益が残らないのは「売上が足りない」からではなく、経費の実態を見ないまま走ってしまうからなのです。
利益は“自然に残るもの”ではありません。数字を見える化して、初めて守れるんです。

利益率を下げる見落としポイント

人気メニューの原価率が高すぎる
「よく出ている=儲かる」とは限りません。
例えば看板商品に使う食材が高騰していても、価格設定を据え置いたままにしていると、販売数が伸びても粗利率はじわじわ下がることになります。
現場では「とにかく人気だから売れれば安心」と思ってしまいがちですが、実際には全体の利益率を押し下げる要因になっていることが少なくありません。
小さなロスや廃棄の積み重ね
もう一つの大きな原因は、日常のロスや廃棄です。
一回ごとに見ると数百円でも、月単位で積み重なれば数万円規模の損失に直結します。
店長が「仕方ない」と流してしまうと、改善の糸口を失ってしまいます。
人件費の無駄と労務コスト
人件費は飲食店にとって最大のコストのひとつです。
ただ「削る」のではなく、売上とのバランスを崩さないように使うことが大切です。
- シフト人数が多すぎて稼働が余る
- ピークを外した時間帯にスタッフを厚く入れている
- アルバイト残業が慢性化している
こうした状況は、売上に対して人件費率を押し上げ、利益を圧迫する原因になります。
店長自身の残業は固定費だから数字には響きませんが、現場をコントロールできずに「人件費の使い方を間違える」ことが利益を削るのです。
“気づいていない出費”こそ、利益を食い潰す一番の敵ですよ。


利益を残すためにできる改善策

✅ メニューごとの利益率を把握する
一般的に飲食店の原価率は30%前後が目安とされています(NEC調べ)
利益改善の第一歩は「どの商品がどれだけ利益を生んでいるか」を把握することです。
原価率を定期的に見直す
粗利の高いメニューを強化する
粗利の低いメニューは改善するか、販売戦略を変える
大手では本部が設計しますが、中小や個人店では店長自身が簡単にでもチェックするだけで違います。
ExcelやPOSの売上データを利用して「どのメニューが店の稼ぎ頭か」を確認し、重点的に販売する仕組みを作ることが有効です。
メニュー別の利益率チェック一覧
| メニュー名 | 販売価格 | 原価 | 原価率 | 粗利額 |
|---|---|---|---|---|
| 唐揚げ定食 | 850円 | 280円 | 32.9% | 570円 |
| 醤油ラーメン | 750円 | 240円 | 32.0% | 510円 |
| 生ビール | 500円 | 120円 | 24.0% | 380円 |
✅ ロス削減の仕組み化
利益を食い潰す最大の要因のひとつがロス・廃棄です。
「気をつける」ではなく、仕組みで減らすことが大切です。
発注量を“勘”ではなく販売実績に基づいて決める
仕込み量を時間帯や曜日ごとに基準化する
廃棄が出たら「理由・金額」を必ず記録する
小さな改善でも、月単位で見れば数万円規模の利益改善につながります。
特に仕込み量の標準化は即効性が高く、教育効果も期待できます。
発注・仕込み・廃棄の改善チェックリスト
| 項目 | 現状の確認ポイント | 改善の方向性 |
|---|---|---|
| 発注方法 | 勘や感覚で発注していないか? | 販売実績データを活用する |
| 仕込み量 | 一律で仕込んで余らせていないか? | 曜日・時間帯で基準化する |
| 廃棄管理 | 廃棄の理由を記録せずに流していないか? | 金額と原因を記録する |
✅ 人件費の使い方を見直す
人件費は飲食店で最も大きなコストのひとつです。
削ることばかりに意識が行きがちですが、重要なのは売上と比べて適正かどうかです。
ピークに合わせて人員を集中させる
閑散時間のシフトを抑える
教育を工夫して少人数でも回せる体制をつくる
単純に削れば現場は疲弊し、サービス低下で売上が下がりかねません。
むしろ「同じ人件費で売上を最大化する」発想が利益改善につながります。
売上に対する人件費率の目安
| 店舗形態 | 人件費率の目安 |
|---|---|
| 居酒屋 | 28〜30% |
| カフェ | 25〜28% |
| ファストフード | 20〜25% |
利益改善は“難しい経営学”じゃなく、現場でできる小さな仕組みの積み重ねなんです。

まとめ|利益率改善で飲食店に利益を残すポイント

利益が残らない店を改善するための要点
この記事では、飲食店で「売上はあるのに利益が残らない」状態を防ぐために、原因と改善策を整理しました。
- 売上至上主義で数字を見誤ると利益を見落としやすい
- 人気メニュー・ロス・人件費の管理不足が利益率を下げる主因
- メニュー利益率の把握、ロス削減、人件費の適正化が改善のカギ
利益率の改善は難しい理論ではなく、現場の小さな仕組み化と数字の見える化で実現できます。
「利益は“余ったら残るもの”ではなく、“残す仕組み”で守るもの。今日からできる一歩を積み重ねていけば、必ず店に力がついていきますよ。」毎日“本当に”おつかれさまです。

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