目先の応急処置に走らないための考え方|長期視点で“再発しない”を設計する

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毎日のように起きるトラブルや課題に追われ、「とりあえず今を何とかする」 対応が増えていませんか?

その場では落ち着いても、数日後には同じ問題が再発し、「またか…」と感じることも多いはずです。

おはようございます、“飲食おじさん”です。外食チェーンで10年間勤務、うち7年を店長として店舗経営に取り組んできました。

飲食おじさん
飲食おじさん

本記事では、目先の応急処置に走らないための考え方をテーマに、店の課題を長期視点で解決する思考法をお伝えします。

✅この記事を読むメリット

  • 応急処置が増える“本当の理由”がわかる
  • 再発を防ぐための長期的な考え方が身につく
  • 3か月後も効く“仕組み化の手順”を学べる

一時しのぎではなく、「再発しない仕組み」をつくるためのヒントを一緒に探っていきましょう。

なぜ店長は応急処置に走ってしまうのか

応急処置を象徴する絆創膏の写真

店で起きるトラブルや人の入れ替わり、数字の波――。店長はいつも「今どうするか」の判断を迫られます。

気づけば、根本的な見直しよりも“その日を乗り切ること”が中心になっていませんか。

ここでは、応急処置に偏る原因を整理してみましょう。

疲労と時間不足が「考える余白」を奪う

疲れていると、人は短期的な安心を求めやすくなります。目の前の混乱を片づけることで一時的にホッとできるため、「今日の負担を減らす判断」を優先してしまうのです。

しかし、その判断が同じ問題を呼び戻すことも多い。

対策

一日の終わりに「なぜ起きたか」を一言メモに残す
翌日、それをスタッフと5分共有するだけでも“短期対応の反省”が可視化できる

評価基準が「今の結果」に偏っている

本部や上司の評価が“今月の数字”中心だと、短期成果を出す方向に引っ張られます。

その結果、「根本を直すより、今を整える」ほうが合理的に見えてしまう。しかも短期成果の方が見えやすく、チームからも褒められやすい構造です。

対策

「再発率」「同じミスの件数」など、長期の変化を見える数字を1つ設定する
数字の推移を1か月単位で確認する習慣を持つ

原因を探すより「早く終わらせたい」心理

問題が起きたとき、人は不安や焦りを避けようとします。その不安を減らすために、「とりあえず動く」「すぐ直す」が安心材料になる。

ですが、“原因に向き合う時間”を後回しにしたツケは、必ず次の週に返ってきます。

対策

「なぜ?」を2回だけでも繰り返す(深追いしすぎず、軽くで十分)
1日1つでも“再発防止のヒント”をメモして残す

要点まとめ

  • 応急処置に走るのは、怠けではなく「構造」と「心理」が原因
  • 評価軸が短期に偏ると、長期対応の価値が見えづらくなる
  • 考える余白を守る仕組みが必要

“早く片づける”ことと“終わらせる”ことは違います。焦らず、原因に一度だけでも目を向けてみましょう。

飲食おじさん
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短期対応が招く悪循環

短期対応の繰り返しで結果が下がっていくイメージ

短期対応が招く悪循環(人・仕組み・数字の整理)

視点短期対応で起きること長期的な影響対策の方向性
指示待ちが増える判断力が育たない「次どうする?」を一言添える
仕組み例外が増える標準が崩れる例外を3回で見直しサイン
数字一時的に改善翌週に反動が出る数字を「線」で追う

応急処置でその場を乗り切る判断は、決して間違いではありません。ただ、それが習慣になると、気づかないうちに店の中で“静かな崩れ”が始まります。

ここでは、短期対応が長期的にどう悪影響を及ぼすのかを整理してみましょう。

人:指示待ちの連鎖を生む

短期対応が続くと、スタッフは「言われたことをこなす」ほうが安全だと感じます。その結果、自分で考える機会が減り、判断力が育ちません。

店長の負担は減るどころか、「何でも店長に確認」という構造が定着します。

小さな工夫

その場で完結させず「次ならどうする?」を一言添える
同じミスを繰り返した人を責めるより、「次の対処を一緒に決める」

仕組み:例外対応が基準を壊す

短期的な対応を重ねると、「今回は特別」という例外が増えていきます。マニュアルやルールが機能しなくなり、誰が教えてもやり方が違う状態に。

気づけば「個人技」に頼る店になり、安定感が失われます。

小さな工夫

特別対応をしたら、理由をメモして翌日共有
例外が3回続いたら“ルールの見直しサイン”とする

数字:一時的な改善が錯覚を生む

短期的な売上アップやコスト削減は達成感があります。しかし、根本が変わっていなければ翌週には元に戻り、「数字の波」が激しくなるだけです。

とくに、スタッフ教育や品質改善を削って生まれた数字は、後から大きな負債として返ってきます。

小さな工夫

数字を“点”で見ず、“線”で追う(週ごと・月ごと推移)
「良かった理由」を必ず1行メモに残す


再発を防ぐための長期視点チェックリスト

チェック項目見直す視点小さな行動例
問いの立て方「どう直す?」ではなく「なぜ繰り返す?」原因を2回掘る
指標の見方今日の数字より推移週1で減ったことを共有
仕組み化例外を残さない特別対応を記録して翌日見直す

要点まとめ

  • 短期対応は“人”を育てず、“仕組み”を壊し、“数字”を歪める
  • 本質的な改善は「次にどう減らすか」を決めたときに始まる
  • 例外対応を放置せず、繰り返しの芽を見える形にする

一回の判断で終わらせず、“次に同じことが起きたらどうするか”を決めるだけで、再発は減ります。

飲食おじさん
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👉「問題の本質を見抜く思考法」を身につけたい方は、次の記事も参考にしてください。

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長期視点に切り替える思考法

時間とお金のバランスを表す時計とコインの写真

「また同じ問題が起きた」と感じるとき、必要なのは“我慢”ではなく見方の更新です。長期視点とは、先延ばしでも理想論でもなく、「次に同じことを起こさない」ための現実的な思考法です。

ここでは、再発しない仕組みをつくるための考え方を整理します。

問いを変える:「どう直すか」より「なぜ繰り返すか」

多くの店長が、問題が起きたときに「どう直すか」をすぐ考えます。

しかし、短期対応が増える背景には、「なぜ同じことが起こるのか」という問いが足りないことが多い。

例:「ミスが減らない」→原因を「人の注意力不足」で止めず、「仕組みで防げないか?」まで掘り下げる。

原因を1つに決めつけず、人・環境・情報・ルールのどこで再発が生まれているかを見る。

小さな再発の芽を早く潰すことが、結果的に最短ルートになる。

 一歩の工夫
 「なぜ?」を2回だけ問う(深追いせず、気づきを残す)
  “人の問題”を見たら、“仕組み側の欠け”もセットで探す

指標を変える:今日の快適より3か月後の再発ゼロ

短期思考を抜け出すには、「見る数字」を変える必要があります。

一日・一週間の結果ではなく、“変化の傾向”を見るのが長期視点の基本です。

「再発率」「やり直し回数」「教育の到達度」「例外ルール数」など、推移が見える数字を選ぶ。

成果を「成功数」ではなく「失敗が減った割合」で見る。

これにより、スタッフも“失敗しても改善が進む”ことを実感できる。

 一歩の工夫
  週1で“先週より減ったこと”を1つだけ共有する
  数字を成果の“ごほうび”ではなく、“学びの温度計”にする

要点まとめ

  • 長期視点とは「問題が再発しない構造」をつくること
  • 問いを変えると、原因が人から仕組みに移る
  • 指標を変えると、成果の“持続性”が見える
  • 小さな再発防止を数字で追うことで、店全体の成長が続く

“うまくいった”より“同じ失敗をしなくなった”ほうが、本当の進歩です。変化を追える店長は、強いです。

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まとめ|“目先の応急処置”から“再発しない仕組みづくり”へ

記事のまとめをイメージした鉛筆と黒板の写真

長期視点で考える店長が結果を出す理由

  • 応急処置は一時しのぎにすぎず、同じ問題を呼び戻す
  • 再発を防ぐには、「なぜ繰り返すのか」を掘り下げる思考が欠かせない
  • 成果を“今日の数字”ではなく“問題の減少”で判断する
  • 小さな改善を数字で追うことで、チーム全体の安定が続く

短期的な対応を否定する必要はありません。ただし、それを「仕組みに変える意識」があるかどうかで、3か月後の成果は大きく変わります。

今日の判断を未来の仕組みにつなげる力こそ、店長としての真価です。

「“早く終わらせる”より、“もう起きないようにする”。その一歩を続けられる人が、静かに強い店を育てています。」毎日“本当に”おつかれさまです。

飲食おじさん
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外食チェーン出身ブロガー
飲食店の採用・教育・接客・売上管理を、仕組みで改善するノウハウを発信。外食チェーンの現場で培った経験をもとに、店長・スタッフの悩みを解決します。愛読書:ドラッカー全般(時代を超えて揺るがない普遍の経営哲学が大好きです!)
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