なぜ?を繰り返すと答えが見える|飲食店店長の思考法
お店で同じトラブルが何度も繰り返される――そんな悩みを抱えていませんか?
「スタッフが辞める」
「クレームが減らない」
「売上が安定しない」……。
そのたびに応急処置で対応しても、しばらくするとまた同じ問題に直面してしまう店長さんは少なくありません。
おはようございます、“飲食おじさん”です。外食チェーンで10年間勤務、うち7年を店長として店舗運営に取り組んできました。

本記事では、店の課題を根本から解決するための「なぜ?」を繰り返す思考法を紹介します。
✅ この記事を読むメリット
- 表面的な対処から抜け出せる
- スタッフが納得して動ける仕組みをつくれる
- 店長自身の判断がブレなくなる
「仕方ない」とあきらめる前に、“なぜ”というシンプルな問いで、お店に眠る本当の答えを一緒に見つけていきましょう。
お店で繰り返される「表面的な対処」の落とし穴

同じ問題が繰り返される理由
店を回していると、どうしても「とりあえず今をしのぐ」対応に走りがちです。
スタッフが辞めた → すぐに求人を出す
クレームが起きた → その場で謝罪して終わり
売上が落ちた → 割引キャンペーンを実施
こうした場当たりの対処は一時的な火消しにはなりますが、根本の原因を残したままなのでまた同じ問題が起こります。
店長は「解決した」と思っていても、実際には“繰り返しのループ”にハマってしまうのです。
店長が直面するリアルな悩み
私自身、店長時代に「また同じところでつまずいているな」と感じたことが何度もありました。
たとえば新人が数週間で辞めてしまったとき、
と自分の仕事が増えることばかりを考えてしまっていたんです。
でも後になって気づいたのは、辞めた本人の問題ではなく、初日の教育やフォロー体制を整えていなかった“仕組みの欠陥”でした。
応急処置だけで走り続けると、店は変わらないどころか、店長自身の時間も体力も削られていきます。
飲食店でよくある“その場しのぎ”対応一覧
| 店長の対処 | 結果 |
|---|---|
| スタッフが辞めた → すぐに求人を出す | 新人が定着せず、また欠員が出る |
| クレームが出た → その場で謝罪して終わり | 同じ内容のクレームが繰り返される |
| 売上が落ちた → 割引キャンペーンを実施 | 一時的に客は増えるが、利益は残らない |
| シフトが回らない → 店長が自分で穴埋めする | 店長が疲弊し、根本的な改善につながらない |
応急処置だけでは、穴の空いたバケツに水を注ぎ続けるようなもの。まず“穴をふさぐ”のが店長の仕事なんです。

「なぜ?」を繰り返す思考法の力

「なぜなぜ分析」は、品質トラブル発生時の根本原因追求のための最も一般的な手法である。JMAC(日本能率協会コンサルティング)
「なぜ?」を重ねると見える真因
店長が直面する問題の多くは、表面的な理由だけを見て終わらせると、同じことが繰り返されます。
「なぜ?」を繰り返す思考法は、表面に出てきた“症状”ではなく、根っこにある原因までたどり着くためのシンプルな方法です。
これは製造業や品質管理の現場でも活用されてきた考え方で、飲食店でもそのまま応用できます。
5回の「なぜ?」で掘り下げる
問題が起きたとき、最低でも3回、できれば5回「なぜ?」を繰り返してみてください。
- 1回目:なぜ辞めた? → 忙しすぎるから
- 2回目:なぜ忙しい? → シフトが足りないから
- 3回目:なぜシフトが足りない? → 欠員が多いから
- 4回目:なぜ欠員が多い? → 新人が定着しないから
- 5回目:なぜ新人が定着しない? → 初日の教育が弱いから
表面だけ見ていたときは「最近の子は続かない」と思い込んでいたかもしれません。でも掘り下げると、実際の原因は 教育やフォローの仕組み不足 に行き着くのです。
本質を突き止める視点
「なぜ?」を繰り返すときのコツは、必ず答えを “人”と“仕組み”に分けて考える こと。
店長の役割は、個人を責めるのではなく、店をよくする仕組みを探し出すことです。
穴の空いたバケツに水を注ぎ続けても、店は回りません。“なぜ?”を繰り返すと、どこに穴があるのかが見えてくるんです。


「なぜ?」を店で活かす3つのステップ

✅ ステップ1|一人で3回「なぜ?」を繰り返す
問題が起きたとき、まずは店長自身が頭の中で「なぜ?」を最低3回繰り返してみましょう。
なぜ?→ 注文ミスが多い
なぜ?→ オーダー方法がバラバラ
なぜ?→ 新人教育が曖昧
この時点で「表面上の問題」と「仕組み上の欠陥」がある程度切り分けられます。一人で考えるだけでも、次の一手が見えやすくなるのです。
✅ ステップ2|チームで「なぜ?」を共有する
掘り下げた内容は、ぜひミーティングや朝礼でスタッフと一緒に考えてください。
店長が「なぜ?」を投げかけると、スタッフは自分の体験を言葉にする
店長一人では気づけなかった視点(忙しい時間帯の工夫、オペレーション上の小さな不便など)が出てくる
チームで話すことで「人を責める」から「仕組みを直す」へと雰囲気が変わる
スタッフは「自分の意見が店の改善に役立つ」と実感し、主体的に動くきっかけにもなります。
✅ ステップ3|改善を小さく試して仕組みにする
「なぜ?」を繰り返すことで見えた原因は、いきなり大きく変えようとせず、まずは小さな改善から試すのがポイントです。
→ 初日の研修シートを作る
→ 注文の聞き方をチェックリスト化
→ 作業を時間単位で分担表にする
小さな仕組みを試し、効果があれば徐々に全体に広げていく。これが「なぜ?」を現場で生きた仕組みに変える一番の近道です。
✅ 実体験からの成功例
あるとき店で「オーダーミスが頻発する」という問題が続いていました。最初は「スタッフの注意不足」が原因だと思っていました。
そこで「なぜ?」を繰り返してみました。
→ 口頭での確認だけに頼っていたから
→ 注文の流し方や伝票の扱いが統一されていなかったから
【解決策】「注文ルールを統一・復唱を徹底」
原因を掘り下げていくと「人の注意力不足」ではなく「ルールの不徹底」という仕組みの問題に行き着きました。
そこで、オーダーを必ず 復唱するルール と 伝票の記入方法を統一 するチェックリストを作成。数日でミスは大幅に減り、スタッフの不安も解消されました。
この経験から学んだのは「人を責めるより、仕組みを整えるほうが早い」ということです。
“注意しろ”だけではミスはなくなりません。誰でも同じ動きができる仕組みに変えるのが店長の仕事なんです。

まとめ|「なぜ?」を繰り返す店長の思考法で問題解決する

「なぜ?」思考法で店の課題を解決するポイント
店で起こるトラブルや悩みは、表面的な応急処置で片づけてしまうと必ずまた繰り返されます。
そこで有効なのが「なぜ?」を繰り返す店長の思考法です。
問いを重ねることで、問題の真因を見極め、仕組みに落とし込むことができます。結果として、店は安定して回り、店長自身の負担も減っていきます。
✅ ポイント整理
- 応急処置だけでは同じ問題が繰り返される
- 「なぜ?」を掘り下げると、根本原因=仕組みが見えてくる
- 人を責めるより、仕組みを直すのが店長の役割
- 小さな改善を習慣化し、仕組みに変えることで店は強くなる
「“なぜ?”は問題を掘るスコップみたいなもの。掘り進めれば、必ず店を変える答えにたどり着きます。」毎日“本当に”おつかれさまです。

👉初日の研修で押さえるべきポイントを具体的にまとめています。新人定着に悩む店長さんはぜひチェックしてください。
