飲食店の食材ロスが止まらない理由|やっていない改善策とは?
「仕込みすぎて結局捨ててしまった」
「冷蔵庫の奥から使えない食材が出てきた」
――こんな“食材ロス”に悩んでいませんか?
多くの店で同じことが起きていますが、実はロスの多い店ほど“あること”をやっていません。
おはようございます、“飲食おじさん”です。外食チェーンで10年間勤務、うち7年を店長として店舗経営に取り組んできました。

当記事では、食材ロスが止まらない店の見落としポイントと、今日からできる改善策を具体例とともに解説します。
✅ この記事を読むメリット
- ロスを招く本当の原因がわかる
- 今日から実践できる削減の工夫を学べる
- 利益を守る“仕組み”の作り方が見える
「ロスは仕方ない」と諦める前に、仕組みを変えて利益を守る方法を一緒に見直してみませんか?
悩みの現状|食材ロスが積み重なる現場あるある

仕込みすぎと予測外の客数
繁忙期やイベント時、「足りなかったら困る」と多めに仕込む。結果的に客数が想定より少なく、大量の食材が余ってしまう。
逆に客数が急増したときは「もっと仕込んでおけばよかった」と悔やむ。
こうした“読み違え”は現場の誰もが経験しており、毎日の廃棄につながる。
よくある“食材ロス”チェックリスト
- ☐ 仕込みすぎて余らせたことがある
- ☐ 廃棄の記録を取っていない
- ☐ 冷蔵庫の奥から使えない食材が出てきたことがある
- ☐ 誰も廃棄の責任を持たず「なんとなく」捨てている
- ☐ 発注の根拠が「勘」や「雰囲気」になっている
- ☐ 同じ廃棄ミスを何度も繰り返している
誰も責任を持たない「廃棄のグレーゾーン」
と判断したスタッフが捨てるケース。
しかし廃棄量を記録せず、翌日の発注に反映されないまま同じミスが繰り返される。
ロスを“見えないコスト”として扱っている店ほど、この「責任の所在が不明」な廃棄が積み重なる。
店長自身の体験談
正直に言うと、私はロスをほとんど出したことがありませんでした。
チェーン店時代、仕込みは必ず売り切る自信があり、実際に売り切ってきました。
ただし、多くの現場を見ていると、同じようにはいかない店がたくさんあります。
予測が外れて仕込みが余る
在庫の見える化ができていない
スタッフが「まあ捨てるしかない」と判断してしまう
ロスを出す店と出さない店の差は、“気合い”や“腕前”ではなく、“仕組み”の有無なのです。
厳しいかもしれませんが、ロスが積み重なる背景には“誰も責任を持たない”という空気があります。まずはロスを“数字で見える化すること”から始めてみましょう。

原因の掘り下げ|ロスが発生する3つの根っこ

実は日本全体で、年間523万トンもの食品が廃棄されています。その約半分は事業系、つまり私たち飲食店も大きな要因になっているんです。(農林水産省調べ)
予測が勘に頼っている
個人店では発注や仕込みを「経験」と「感覚」で決める場面が多くあります。
チェーン店の場合はレジの売上データや過去の販売記録を活用する仕組みがありますが、それでも現場では
- 「今日は天気がいいから多めに」
- 「最近あのメニューがよく出ているから追加しておこう」
といった判断をします。
この“感覚の上乗せ”は決してバカにできません。現場で長く働いた人だからこそ見えるサインがあり、システムだけでは拾えない予兆を補うことができるのです。
ただし、感覚が仕組みを超えてしまうとロスが膨らみます。大事なのは 「仕組みを基準にしつつ、感覚は微調整に使う」 という位置づけです。
在庫管理のルールが曖昧
冷蔵庫に何がどれだけ残っているか、スタッフ全員が同じ基準で把握できていますか?
など曖昧な判断で発注をすると、二重仕入れや古い食材の放置につながります。
在庫を「誰が見ても同じ判断ができる」状態にしないと、ロスは減りません。
スタッフ教育が不足している
現場スタッフは「食材ロス=ただのゴミ」と思ってしまいがちです。
実際には廃棄は 利益を直接削るコスト ですが、その意識を持っていない場合が多い。
「この廃棄は売上でいえば◯◯円の損失」
「スタッフ◯人分の1時間労働に相当」
と伝えることで、初めて当事者意識が芽生えます。
食材ロスを生む3つの原因(勘・ルール・教育)
勘に頼る → 「売上データを活用できていない」
ルール不在 → 「在庫基準が曖昧」
教育不足 → 「廃棄をコストと認識していない」
ロスの原因は“忙しいから仕方ない”ではなく、勘・ルール・教育が欠けているだけなんです。まずはどこが弱いかを一つ選んで見直しましょう。


解決策|今日からできるロス削減の実践ステップ

✅ すぐできる改善(チェックリストで意識を変える)
ロス削減の第一歩は「気づくこと」です。
例えば、閉店後に「今日の廃棄リスト」を5分でつけるだけでも効果があります。
これをスタッフと共有すれば、廃棄が“ただのゴミ”ではなく“数字で見えるコスト”だと理解できます。
チェックリストは紙でもホワイトボードでも十分。大事なのは “見える化” です。
✅ 仕組み化の工夫(データ+ルールで再現性を作る)
短期的な改善だけでは続きません。特に個人店では、仕込みや発注が「人の勘」に偏りがちなので、データやルールを入れるだけで大きく変わります。
過去の販売記録を見て「平均的な仕込み量」を数値化する
在庫は「誰が見ても同じ判断ができる基準(例:◯kg以下で発注)」を決める
発注は必ず複数人で確認し、属人化を防ぐ
こうしたルールはチェーン店なら当たり前ですが、個人店では「わかっているけどやれていない」ことが多いです。
また、チェーン店でも仕組みがあっても“形だけ”で運用が甘くなることがあります。仕組みを“活かして使う”ことこそ、ロス削減のカギです。
✅ スタッフを巻き込む仕掛け(教育でコスト意識を浸透させる)
ロス削減を店長一人で抱えるのは限界があります。
と数字で伝えると、スタッフも当事者意識を持ちやすいです。
さらに、廃棄を減らせた日は「よくやったね」と共有することで、チーム全体がロス削減をゲーム感覚で楽しめるようになります。
ロス削減の実践ステップフロー
リスト化・金額換算
販売記録の活用・在庫ルール設定
教育・評価
ロス削減は節約ではなく、チーム全員で“利益を守る仕組み”をつくること。小さな改善を共有すれば、現場は確実に変わりますよ。

まとめ|食材ロス削減で店の未来を守る

飲食店がロスを減らすためのチェックリスト
食材ロスは「忙しいから仕方ない」ではなく、仕組み不足から生まれる
原因は「勘への依存」「在庫ルールの曖昧さ」「スタッフ教育の欠如」の3つ
改善は「見える化 → 仕組み化 → チーム共有」のステップで進める
食材ロスを減らすことは単なる節約ではありません。
利益を守り、スタッフのやりがいを保ち、お客様に安定した品質を届けるための土台です。
完璧を目指す必要はありません。まずは「一番ロスが多いポイント」を一つ決めて、改善を始めてみてください。
「ロスをゼロにするのは難しい。でも“減らせる仕組み”を一つ入れるだけで数字も気持ちも大きく変わりますよ。」毎日“本当に”おつかれさまです。

食材ロスを防ぐには、シフト体制の工夫も欠かせません。
👉 続けて 「シフトが毎回ギリギリになる原因と解決法」 もチェックしてください。
