人件費は削るでも増やすでもない|“適正化”こそが利益を生む人件費管理の原則
「人件費が高い」
「削らなければ利益が出ない」
――そう感じていませんか。一方で、人を減らしても店の動きが悪くなり、かえって数字が落ちるという悩みも多いはずです。
人件費は“削る”ことが目的ではありません。多すぎても少なすぎても店の力を弱めます。本当に大切なのは、「どの仕事に、どれだけの費用を使うか」という配分の正確さです。
おはようございます、“飲食おじさん”です。外食チェーンで10年間勤務、うち7年を店長として店舗経営に取り組んできました。

本記事では、人件費を「削減」ではなく「適正化」で考える方法を解説します。数字の見方を変えるだけで、支出を抑えながら利益を守る判断ができるようになります。
✅ この記事を読むメリット
- 人件費削減がうまくいかない理由が明確になる
- 無駄を減らしつつ必要な費用を残す基準が身につく
- 利益を安定させる人件費管理の考え方が理解できる
「人を減らすかどうか」ではなく、「正しい使い方で利益を生む」という視点に切り替えていきましょう。
最後まで読めば、人件費を味方につけるための判断基準が明確になります。
人件費は多すぎても少なすぎても店を弱くする

人を減らせば一時的に数字は良く見える
人件費を減らすと、数字上の利益はすぐに良く見えます。しかし、その状態は長くは続きません。
教育が止まり、作業の精度が下がり、提供スピードも落ちます。残った従業員に負担が集中し、離職が発生します。
削減で一時的に支出が減っても、再採用や再教育で同じ費用が発生します。削減で利益を守ったつもりでも、時間と労力を失う結果になることが多いです。
人を増やしすぎると利益を削る
特に、客が少ない時間にも多くの人を入れると、人件費率が上がり、その人件費が売上に結びつかなくなります。
人を増やすことよりも、人が必要な時間に適切に配置することが重要です。人件費をかけること自体は問題ではありませんが、使いどころを誤ると利益を圧迫します。
重要なのは「どの時間に、どれだけの人が必要か」
人件費は金額の多さではなく、配分の精度で決まります。
同じ費用でも、
この2点を意識するだけで、数字は安定します。人件費を見直すとは、単に減らすことではなく、時間と人の組み合わせを調整することです。
- 削減も放置も損失につながる
- 人件費は配分の誤りで崩れる
- 判断基準は「時間帯×必要人員」の設計
人件費は多いか少ないかではなく、合っているかどうかです。数字は配置で変わります。

人件費を“適正化”するための考え方

基準は「人の数」ではなく「仕事量」
人件費の判断基準を「人数」だけで考えると誤ります。重要なのは、仕事量と人の動きの一致です。
忙しい時間に集中して作業が発生するなら、その時間に合わせて人を配置します。
反対に、作業量が少ない時間に目的なく人を多く入れれば、人件費が無駄になります。
数字で判断する
感覚でシフトを組むと、どの時間にどれだけの人が必要かが曖昧になります。時間帯別の売上、人件費率、作業量を数字で見れば、どこに過不足があるかがわかります。
数字をもとに判断すれば、感覚的な「多い・少ない」ではなく、「根拠のある人員計画」を立てられます。
時間帯別の人件費と売上の関係を見直すための比較表
| 時間帯 | 主な業務 | 売上(円) | 人件費(円) | 人件費率(%) | 確認ポイント |
|---|---|---|---|---|---|
| 11:00〜14:00(ランチ) | 提供・会計・片付け | 120,000 | 36,000 | 30% | 売上のピーク。提供スピードを最優先。 |
| 14:00〜17:00(アイドル) | 仕込み・清掃・準備 | 40,000 | 28,000 | 70% | 売上は少ないが、次のピークに備える時間。作業内容を確認。 |
| 17:00〜21:00(ディナー) | 提供・ドリンク対応 | 150,000 | 45,000 | 30% | 売上の中心時間。ピーク前後の人員配置を再確認。 |
| 21:00〜23:00(クローズ準備) | 清掃・片付け・締め作業 | 30,000 | 20,000 | 67% | 売上に対して人件費が高い時間。作業手順を整理。 |
削るのではなく“適正にする”
人件費を減らすことを目的にすると、教育や品質を犠牲にします。必要なのは、支出の総額を減らすことではなく、使い方を整理することです。
ムダな時間を減らし、必要な時間に力を集める。それが結果的に人件費率を安定させ、利益を守ります。
判断の基準は人数ではなく仕事量
数字で判断すれば感覚的な偏りを防げる
削減ではなく整備で利益を守る
人件費は“どれだけ使うか”ではなく、“どこで使うか”です。数字を見れば判断を誤りません。

👉仕込み量の判断に迷っている方は、次の記事も参考にしてください。
人件費を“安定させる体制”をつくる

✅ 数字に合わせて判断を変えると崩れる
人件費の調整で最も多い失敗は、月ごとの数字に反応して判断を変えることです。
一時的な売上の変化に合わせて人を増減させると、教育・準備・品質の流れが崩れます。結果的に、数字は安定せず、従業員の負担だけが増えます。
- 売上が下がったからすぐ人を減らす
- 売上が上がったから急に人を増やす
- 前月の結果だけを見てシフトを決める
重要なのは、変化に反応するのではなく、一定の判断基準を持つことです。
✅ 判断を“ルール”に変える
人件費を個人の感覚で判断すると、管理が不安定になります。次のようなルールを明文化することで、誰が見ても同じ判断ができるようになります。
- 売上○円につきスタッフ○人を配置する
- 時間帯別の目標人件費率を設定する
- 週単位で数字を見直し、必要があれば調整する
基準を固定すれば、判断にブレがなくなり、数字の変動にも落ち着いて対応できます。
✅ 安定が利益を守る
削減や拡大を繰り返すより、安定した人員体制を維持するほうが利益は残ります。
同じ配置・教育・判断を継続すれば、作業のムダが減り、数字が読めるようになります。人件費の目的は「削る」ことではなく、数字の安定を長く保つことです。
人件費は動かすより、保つほうが難しい。けれど、安定している店ほど強い数字を出しています。

まとめ|人件費は「削減」でも「放置」でもなく“適正化”が利益を守る

人件費削減の正解は“適正化”|管理を改善する3つの視点
理解(箇条書き)
- 配置の精度:仕事量に対して人を正しく配置する
- 数字の管理:感覚ではなくデータをもとに判断する
- 安定の維持:短期調整ではなく長期的な基準を保つ
人件費は「減らすこと」ではなく、「正しく使うこと」で利益を守ります。この3つの視点を意識すれば、数字に左右されない安定した経営判断ができます。
「削るかどうかではなく、使い方を考えることです。人件費が安定すれば、売上と利益のバランスが取れます。」毎日“本当に”おつかれさまです。

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