「人手不足を経験したことがない」店長が語る、土日がパンクしないシフト体制の作り方
「土日のシフトが毎回崩れて人が足りない」
――多くの飲食店で聞かれる悩みです。
実は、私はアルバイト時代から社員、そして店長になってからも、環境に恵まれ人手不足を経験したことがありませんでした。
だから店長会で「土日が回らない」と話す声を聞いても、当時は他人事のように感じていました。
ただ、今になって振り返ると、あまり多くないケースだったようです。
おはようございます、“飲食おじさん” です。外食チェーンで10年間勤務、うち7年を店長として店舗の運営に取り組んできました。

この記事では、多くの店で土日が崩れる原因を整理しながら、私自身が上司や先輩の影響で自然と身につけていた“崩れないシフト体制”の要点を解説します。
✅この記事を読むメリット
- 土日にシフトが崩れる原因を客観的に理解できる
- 短期的に現場で使える改善策を学べる
- 長期的に「人手不足を感じない店」を作る仕組みがわかる
「人手不足に悩んでいる店」と「そうでない店」には、確かな違いがあります。最後まで読めば、あなたの店を“崩れない土日シフト”へ変えるヒントが見つかるはずです。
多くの店で起きている「土日シフト崩壊」の実態

飲食店にとって土日は一番の勝負どころ。
だからこそ「週末こそ人手が厚くないといけない」はずなのに、逆に崩れてしまう店が少なくありません。
店長会や業界の話を聞くと、多くの店長が同じ課題を抱えていました。
令和7年7月の一般職業紹介状況によれば、宿泊業・飲食サービス業における求人件数は前年同月比で9.7%減少している(厚生労働省)
学生が抜けて一気に戦力が薄くなる
学生アルバイトが多い店では、テスト期間やサークル活動、旅行などで土日にシフトを外れるケースが重なります。
普段は問題なく回っていても、週末だけ急に戦力が減ってしまうのです。
主婦層が少なく昼が崩れる
ランチタイムを支える主婦層が少ない店では、家庭の行事や子どもの予定で土日はシフトに入れないことが多いと言われます。
その結果、昼間のピークを学生や新人で回さざるを得ず、オペレーションが崩れやすくなります。
ピークタイムに経験者が足りない
夕方から夜にかけての繁忙帯に新人ばかりが並ぶと、人数は足りているように見えてもスピードが出ず、注文が滞って混乱につながります。
これは「質の偏り」が原因の典型例です。
整理すると、土日が崩れる要因は次の通りです。
なぜ多くの店で起きるのかを冷静に整理し、仕組みの観点から考えていきましょう。

なぜ土日のシフトが崩れるのか?原因の掘り下げ

日本フードサービス協会が発表した最新の“外食産業市場動向調査”によると、売上高の前年比は 108.4% と拡大傾向にある(令和6年)「JFネット」
土日にシフトが崩れると聞くと「人が足りないからだ」と思われがちです。
しかし実際には、もっと深い原因が隠れています。
大きく分けると 人材層の偏り・シフト設計の甘さ・育成の遅れ の3つです。
人材層の偏りがリスクを生む
学生中心の店は、テストや旅行で週末にごっそり抜けてしまうことがあります。
主婦層が少なければランチ帯が弱く、フリーターがいなければ夜のピークを支えられません。
- 学生が多すぎて週末に戦力が消える
- 主婦が少なく昼のピークが薄い
- フリーターが不在で夜の柔軟性がない
土日シフトが崩れる典型的な人材バランス
| 人材層 | 偏りがちなパターン | 崩れるタイミング |
|---|---|---|
| 学生 | 7割以上を占める | テスト期間・旅行シーズンで一気に抜ける |
| 主婦 | 少数またはゼロ | 昼のランチ帯が手薄になる |
| フリーター | 不在または1人だけ | 夜のピーク(17〜20時)が支えられない |
シフト設計の甘さ
「なんとなく多めに入れる」で組んだシフトは、表面的には安心でも、実際には穴が多い。
ピークに経験者がいないのに、閑散時間には人が余っている――こんなアンバランスは典型例です。
- 客数や売上データから必要人数を決める
- ピーク帯には必ず経験者を配置する
育成の遅れ
人数が揃っていても、新人ばかりで戦力化できていなければ土日は崩れます。
「教えながら回す」状態では繁忙期に耐えられず、結局ベテランや社員の負担が増えるのです。
育成が遅れる店の特徴
土日シフトが崩れる原因の整理
土日のシフト崩壊は「人がいない」ではなく「設計の失敗」です。
とくに次の3点が欠けていないか、振り返る必要があります。
人材層のバランス
データに基づいたシフト設計
新人を早期に戦力化する育成
本当の原因は“人材設計のズレ”にあります。そこを見直すだけで、土日の現場はずっと安定していきますよ。


土日シフトが崩れない体制の作り方

土日を安定して回すには、「人数を増やす」より「設計を変える」ことが大切です。
ここでは、すぐにできる改善と、長期的に効く仕組みづくりを整理します。
✅ 短期的に効く工夫
まずは即効性のある工夫です。現場に負担をかけず、来週からでも取り入れられます。
週末だけ入りたいフリーターや学生をあえて採用する。
希望休を数値で管理し、集中しすぎないように分散。
「17〜20時は最低1人以上のベテラン配置」をルール化する。
小さな工夫でも「土日は薄い」という不安を減らせます。
土日シフトを崩さないためのチェックリスト
土日専任スタッフを確保できているか
希望休を数値で管理しているか
ピークに必ず経験者を配置しているか
学生・主婦・フリーターの層をバランス良く採用しているか
新人を1か月以内に戦力化する仕組みがあるか
✅ 長期的な仕組みづくり
根本的に崩れない体制を作るには、採用・教育・配置を仕組み化する必要があります。
文章で補足しつつ、要点はリストに落とし込む。
学生・主婦・フリーターを混在させることで繁閑対応が可能になる。
売上や客数の実績をもとに「この時間帯は必ず◯人」と固定化。
1か月以内にピークに立たせる育成フローを整える。
こうして「属人的なシフト」から「仕組みで安定するシフト」へ移行していくのです。
土日の時間帯別・最低必要人数の考え方
| 時間帯 | 想定客数 | 必要最低人数 | 配置のポイント |
|---|---|---|---|
| 昼(11〜14時) | 80〜100人 | 3人 | 主婦+学生新人 |
| 夕方(14〜17時) | 30〜40人 | 2人 | 調理は最小限、接客は1人で回せる体制 |
| 夜(17〜20時) | 120〜150人 | 5人 | 社員1+経験者2+新人2 |
※業態によって異なります。
✅ 実際に効果があった取り組み
私の経験や同僚の店で効果があった例を挙げます。
どの店も「人数が多い/少ない」ではなく、「層と配置の工夫」で崩れなくなったのが共通点でした。
“誰を入れるか”より“どう組み合わせるか”が土日を守るコツ。仕組みで安定させれば、店長が無理に背負う必要はなくなりますよ。

まとめ|土日シフトを崩さないためのポイント

土日のシフトが崩れる背景には、「人手不足」ではなく人材設計の問題があります。
私自身は人手不足を経験しませんでしたが、それは上司から自然に受け継いだ仕組みが働いていたからだと気づきました。
土日シフトを崩れないようにする3つの視点
- 土日が崩れるのは「層の偏り・感覚的シフト・育成不足」が原因
- 短期策は「専任スタッフ確保・希望休調整・経験者配置」
- 長期策は「層のバランス採用・数字で必要人数固定・新人を早期育成」
土日を安定させるのは「気合い」ではなく「仕組み」です。
「土日の不安をなくすのは“設計のひと工夫”。仕組みを整えれば、週末はもっと楽になりますよ。」毎日“本当に”おつかれさまです。

👉 クレーム対応で現場が崩れないために、最初の一言が何より大切です。
