繁忙期はギリギリ、閑散期は余る──飲食店シフトを安定させる3つの考え方
「繁忙期は毎回ギリギリ」
「閑散期は人が余ってシフト調整が大変」
そんな悩みを感じていませんか。
忙しい時期と落ち着く時期の差があるのは当たり前ですが、そのたびにシフト作りで頭を抱える店長さんは多いと思います。
おはようございます、“飲食おじさん”です。外食チェーンで10年間勤務、うち7年を店長として店舗の運営に取り組んできました。

本記事では、繁忙期と閑散期の違いを見越して、シフトを安定させる3つの考え方を紹介します。
無理なく人を配置し、スタッフの不満を減らしながら、人件費を守る方法がわかります。
✅この記事を読むメリット
- 時期ごとの忙しさに合わせたシフトの整え方がわかる
- 人件費のムダや偏りを防げる
- スタッフが納得して働ける環境をつくれる
最後まで読めば、「どうすれば忙しさの差に振り回されずに済むか」がはっきり見えてきます。
忙しい時期と落ち着く時期で起こる問題

お店の一年を思い出すと、「忙しい時期」と「落ち着く時期」は必ずあります。
この差があるから、シフトづくりが難しくなるんですよね。
忙しい時期は、詰め込みすぎて疲れが残る
人を増やしてなんとか乗り切る。
でも終わったあとに残るのは「やり切った達成感」よりも、どっとした疲れ。
教える時間がなく、新人がつまずく
慣れない仕事でミスが増える
「またこのパターンか」とベテランが疲れる
落ち着く時期は、出られない不満がたまる
忙しさが落ち着くと、今度は「出勤できない」悩みが出てくる。
勤務時間が減ると、スタッフの収入も下がりやすい。
- 「最近シフト減りましたよね」
- 「もう少し入りたいんですけど」
この小さな不満が、次の繁忙期に影響することもあります。
繁忙期と閑散期の比較一覧表
| 項目 | 繁忙期 | 閑散期 | 店長が意識すべき点 |
|---|---|---|---|
| 来店数 | 多い | 少ない | 先に客数の予測を立てる |
| スタッフの稼働 | 多い・長い | 少ない・短い | シフト配分で差を調整 |
| 人件費 | 上がりやすい | 下がりやすい | 売上とバランスを取る |
| 雰囲気 | 慌ただしい | 緩みやすい | トーンをそろえる声かけ |
忙しいときも落ち着くときも、次にどうシフトを組むかを考えておく。そういう店は、慌てません。

なぜシフトが安定しないのか

シフトづくりで一番大変なのは、「人を入れるかどうか」よりもどんな考え方で決めるかです。忙しい時期と落ち着く時期の差が大きいほど、感覚や勢いで決めてしまいやすくなります。
ここでは、シフトが安定しない主な理由を三つに分けて整理します。
数字を見ているだけで使っていない
売上や来店数の記録は毎日出ていますが、それを次の計画に生かせていないお店は多いです。
「去年のこの時期は忙しかった気がする」──その程度の感覚で人を入れると、無駄が出やすくなります。
数字を“報告のため”に見るのではなく、“判断のため”に見るだけで、組み方はまったく変わります。
チェックポイント
シフト作りが人任せになっている
店長が作業に追われ、リーダーや副店長に任せっぱなしになっているケースもあります。
人によって考え方が違うため、方針がそろわず、毎回バラバラの形になる。「誰が作っても同じ基準で組める」ようにしておくことが、安定の第一歩です。
見直すポイント
人件費の見通しが後回しになっている
シフトを先に組み、あとから「今月人件費が高い」と気づくパターンは少なくありません。
人を入れる前に、売上の見通しを立てておくこと。忙しい時期と落ち着く時期で稼働のバランスを合わせるだけで、無理やムラが減ります。
数字は“見せるため”じゃなく、“使うため”に見る。ちょっと先を読むだけで、無駄な調整はぐっと減ります。


繁忙期と閑散期に合わせたシフトの考え方

忙しい時期と落ち着く時期で差が出るのは当然です。問題は、その差をどう予測し、どう準備しておくか。
ここでは、店を無理なく動かすための三つの考え方を紹介します。
✅ ① 過去の数字を見返して次を読む
前年や前月の売上、曜日ごとの来店数を見返すだけでも、忙しくなる時期はある程度つかめます。
なんとなくの記憶ではなく、数字をざっくり確認しておくだけで「次の準備」がしやすくなります。
去年の同じ週・曜日をざっと比較しておく
イベントや天候の影響もメモしておく
忙しくなる時期を「覚えておく」より、「書き残しておく」。それだけで判断が速くなります。
✅ ② 仕事の内容ごとに人を考える
誰を入れるかではなく、どんな仕事を任せたいかを先に決めます。
ピークの時間帯は動きに慣れた人を中心に、落ち着く時間帯は新人育成の時間にする。この考え方を持つだけで、毎回ゼロから悩む必要がなくなります。
忙しい時間帯:注文・配膳・レジに経験者
落ち着く時間帯:仕込み・掃除・教育に新人
こうして「時間帯ごとの配置パターン」を決めておくと、人が入れ替わっても店の流れが乱れにくくなります。
時間帯別シフト配置の考え方(例)
| 時間帯 | 繁忙期の配置例 | 閑散期の配置例 | 店長のポイント |
|---|---|---|---|
| 開店〜昼前 | ベテラン1+新人1 | 新人中心 | 立ち上がりを丁寧に |
| 昼ピーク | 経験者中心(注文・提供) | 最少人数で対応 | 作業を分担して負担を減らす |
| 昼〜夕方 | 教育・仕込みを中心に | 教育・清掃時間に充てる | 閑散期に育成を入れる |
| 夜ピーク | フルメンバー体制 | 経験者少数で効率化 | 負担を翌日に残さない |
✅ ③ 早めに共有して納得をつくる
シフトの調整で一番揉めるのは、「知らされていないこと」。
忙しい時期も落ち着く時期も、「なぜこの形なのか」を説明するだけで、不満は減ります。
共有のコツ
- 変更や方針を早めに伝える
- 理由を数字や来店状況とセットで話す
説明できるシフトは、信頼されるシフトです。
シフトの安定は“予測”と“共有”。思いつきではなく考えて動けば、無理のないお店になります。

まとめ|繁忙期と閑散期のシフトを安定させるポイント

繁忙期と閑散期で忙しさに差があるのは当たり前です。大切なのは、その変化を見越してシフトを安定させる考え方を持つこと。
「そのときの対応」ではなく、「先を読む準備」をしておくだけで、お店の流れは落ち着きます。
飲食店のシフトを安定させる3つのポイント
- 過去の数字を見て、次の繁忙期を予測する
→ 去年の同じ時期を振り返ることで、準備の精度が上がる。 - 仕事の内容に合わせて人を配置する
→ 忙しい時間は経験者、落ち着く時間は新人育成でバランスを取る。 - シフトの方針を早めに共有する
→ 理由を話すことで、スタッフの納得と協力が得られる。
忙しい時期と落ち着く時期、どちらも「事前に考えておく」ことで差が小さくなります。
その積み重ねが、無理のないお店づくりにつながります。
「繁忙期も閑散期も、“先を読む店長”が強い。シフトを考える時間を取ることが、いちばんの節約になります。」毎日“本当に”おつかれさまです。
